医学小論文のテーマその１～安楽死について～

安楽死とは人や動物を苦痛なく死に至らしめることである。
一般的に議論にされる安楽死は積極的安楽死であり、例えば回復の見込みがないALSなどの病気の患者にカリウム製剤を用いて死に至らしめることなどが例として挙げられる。
積極的安楽死は日本では法律で認められていないが、一部の国では積極的安楽死が合法である。
一方で、尊厳死などの消極的安楽死は日本で認められている。例えば、ALSにより呼吸が止まった場合に人工呼吸を行わない例や脳死に陥った患者または患者の遺族の医師で心肺蘇生を拒否するといった例などである。尊厳死は終末医療で患者の生活の質を保証するターミナルケアと深く関係があり、ターミナルケアの観点から尊厳死は無意味な延命措置による苦痛から解放される手段と考えることが出来る。
積極的安楽死が日本で法律に認められていない背景として、日本では法律上、安楽死をターミナルケアにおける治療法の一つという枠組みでしか考えていないからという理由がある。
例えば、健康に問題が無い高齢者や交通事故で後遺症を負った患者が生きることが苦痛だからといって死ぬことが出来ないのは、その人はターミナルケアの対象でないからである。
もし、その高齢者の安楽死に加担した医師がいればその医師は犯罪者になってしまう。
生きている人間に死は必ず訪れる。したがって生きている人間は死ぬときは苦痛なく死にたいと考えることが普通である。その前提の上で、善意から人を死に至らしめることが正しいのかを議論しなければいけないことが安楽死の議論の難しさである。